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『フィンランド語は猫の言葉』を読んだ.
稲垣美晴,『フィンランド語は猫の言葉』 を読んだ.
フィンランドでの言語学科留学体験記(ただし 1980 年代)という感じの本. 中島義道氏の『ウィーン愛憎』の「憎」無しバージョンに思えた. 残念ながら猫の話はほとんど出てこない. フィンランド語の相槌が「ニー」という一エピソードから付けられただけなのであった.
(なぜだかわからないけど,こうした留学日誌的エッセイには,よくある留学指南本のごとく「まず日本を知らなければならない」の類の主張が含まれているのはずっと気になっている.ウィーン愛憎ではそうした帰属意識や義務は皮肉めいた風に使われていた(外敵に対する防御反応のような感じで).ここに関しては考えをまとめたい.というのも,僕はそういう考えを全く持っていないからだ.必須の段階とは思わないし,そもそも自国の文化的知識やその理解度や,それをうまく表現できるかどうかなんて個々人によって要求される度合いも,自己評価のレベルが異なりすぎて,あたかも共通の必須事項として挙げられるほど果たして客観的なものなのだろうか,と思ってしまうのだった.)